ヘルタースケルターが映画化されたいきさつ

漫画に興味のあるという人はもちろん、そうでない人でも興味を持つ漫画が世の中にはあります。ヘルタースケルターがまさにそうです。この漫画は作者が飲酒運転の自動車に早朝はねられてしまい、執筆不可能になった最後の作品としてファンの中でも特別な扱いをされている作品です。作者の社会的影響は大きく、漫画業界に限らずアート誌やサブカル雑誌でも事故後に特集が組まれるなど、ファンに惜しまれていることを表わしていると言えます。そしてヘルタースケルターはこのたび映画化もされることになりました。今回の特集では、そんなヘルタースケルターを隅から隅まで楽しむために役立つ情報について詳しくお伝えしていきたいと思っています。

ヘルタースケルターは、作者の連載後も単行本化されることがなく、間もなくというタイミングで作者が事故に遭ったこともあり、さらに刊行が遅れていました。作者は連載時の作品を単行本化する際に、大きく手直しをすることで有名でした。ですので、手直しをすることなくヘルタースケルターを刊行することが作者にとって望むところなのかどうかで、しばらく刊行が止まっていました。

そんなヘルタースケルターですが、ファン待望の単行本化が果たされました。ちなみに、うたかたの日々と銘打つ単行本も同時に刊行されましたが、2冊を比べると、明らかに人気はヘルタースケルターの方が高くなりました。

音楽の神様というとモーツァルトかビートルズとよく言われます。ヘルタースケルターというタイトルは、ビートルズの曲のタイトルに同じものがあり、ビートルズの影響を作者が受けていることを表わしていると見ることもできるかもしれません。ちなみに、ビートルズのヘルタースケルターは、軽やかな曲の多いビートルズには珍しく、激しいロックミュージックです。音楽好きでも知られた作者が、とりわけ思い入れの強い曲から着想した作品がヘルタースケルターでした。

このヘルタースケルター、雑誌に連載されていた当初からファンの間では傑作と言われ、たいへん評判が高い作品でした。このヘルタースケルターは、なぜここまでの高い人気を誇ることができたのでしょうか。次回のページでは、ヘルタースケルターを生み出した作者について、詳しく解説していきたいと思っています。