前回のページではヘルタースケルターについて、作者がどのような心境で作品に臨んでいたのかについて解説しました。ヘルタースケルターはピンクにはじめる、作者の新境地ともいえる作品群の締めくくりとも言える作品でした。そこで描かれている世界は、背景としてバブル時代を髣髴とさせるものがあり、そこに対してどのように考え、対処し、その後をどのように生きていくのかが大きなテーマとなり作品全体を流れているように思えます。それでは今回のページでは、ヘルタースケルターという作品について、原題とはどのような設定になっているのかについて詳しく解説していきたいと思っています。
ヘルタースケルターを貫いている「時代性」について、まずは考察していきたいと思います。作者が描く世界観としての時代は主にバブル時代にあります。バブル時代とは80年代の後半から90年代の前半にかけての10年にも満たない数年間のことを指します。この期間、日本は急激な景気の上昇を体験し、世の中は浮かれ、狂乱の時代を迎えました。それまでの日本は脇目もふらずにガムシャラに働き、勤勉さこそが美徳といった価値観に縛られていましたが、バブル時代になるとその反動とも言える、様々な遊びや消費が繰り返されました。
その期間、作者は青春時代の真っ只中をバブル時代と共に過ごしたと言えます。それこそ大量の札束の飛び交う世界で、彼女が目にし、経験してきたことがヘルタースケルターなどの一連の作品群に生かされています。
そのようなバブル時代に作者が培ってきた世界観は、作者自身が経験した事を元に描かれていることです。そのことによって血の通ったリアルな退廃した世界がヘルタースケルターの作品中のそこかしこに見られることとなりました。作者の世界観は強大で、漫画に限らず、アートやデザインなど、ありとあるゆるジャンルの業界を横断して通用する作品となりました。
作者の描く普遍的な世界は、時代を横断して今でも変わらず光り輝いています。そのことを今回のヘルタースケルターの映画化が物語っていると言えます。では映画化されたヘルタースケルターの見どころはどこでしょうか。次回のページではその辺りに伝詳しく解説していきたいと思っています。