ここまでのページでは、ヘルタースケルターという素晴らしい作品について様々な情報をお伝えしてきました。ヘルタースケルターは漫画ですが、その範囲に収まらない大きなスケールの作品として、ヘルタースケルターはふだんはあまり漫画を読まないという人にも知られる存在となっています。そのヘルタースケルターがこのたび映画化されました。その素晴らしい世界観に浸るためには、事前に幾つかの情報を知っておくことで、より作品を楽しめます。そこで今回のページではヘルタースケルターについて、作品の奥底に秘められたテーマとは何なのか、について詳しく解説していきたいと思っています。
ヘルタースケルターの主要な登場人物は、主人公のほかにはあまり存在感のある人物は登場しません。その代わり、主人公のキャラクターがとてつもなくインパクトが強く、印象的です。主人公はスーパーモデルで、日本人として世界をまたにかけた国際的な活動をしています。そんな主人公が深夜にふと目覚め、部屋にある鏡で美容整形の手術を受けた際にできたアザに気づき、悲鳴を上げるところから、物語は始まります。
美容整形でできるアザは、通常はすぐに消えてしまいますが、この場合のアザは違っていて、はじめ顔にできていたのが首筋に広がり、その次に全身に広がっていきます。このことが何を意味しているのかが、ヘルタースケルターという物語の主要なテーマとなってきます。
主人公はその美容で世界を制したといっても過言ではない存在です。その主人公が美容が原因で崩壊へと向かうのです。崩壊とは自分自身が築き上げたモデルという仕事としての崩壊でもあり、自分自身の美容の崩壊でもあります。さらには、仕事やプライベートを通じで出来上がった人間関係の崩壊ということもヘルタースケルターの大きなテーマとなっています。
漫画であるヘルタースケルターにおいて、主人公は線のみで描写されています。通常は影を入れたり、スクリーントーンというシートを貼って立体感を出します。そういったことをせず、ヘルタースケルターの主人公は線のみで描かれています。
今回映画化されたヘルタースケルターでは、この線のみで描かれたというラフな実感を、実写で描くことから作品の雰囲気やキャストの演技において、様々な工夫がなされています。